広島で人材育成、県が助成制度

変化の速い時代、企業は時代にキャッチアップできる人材を1人でも多く確保したいところですが、中小企業は大企業と比べ、どうしても優秀な人材の新規採用が難しい現状があります。
新たに採用できないなら自前で育ててしまうしかないのですが、如何せん、人材の育成には資金もノウハウも必要です。そこで紹介したいのが、公的な助成制度です。これは広島県の人材育成で言えば「イノベーション人材等育成事業補助金」になります。

2/3を上限に補助

イノベーション人材等育成事業補助金は広島県内に本社・本店のある中小企業・中堅企業が、社員を国内外の大学や研修機関へ派遣する際にかかる費用の一部を県が補助する事業です。地場産業の持続的な発展に不可欠なイノベーションの原動力となる高度人材の育成を目的としています。
補助率と補助限度額は教育の内容によって異なります。いずれも最も大きいのが学位を取得するための大学院派遣など、1年以上を要する長期研修のために現地に滞在する場合で、補助率は2/3以内、上限金額は400万円です。滞在せず、派遣元から通う場合は補助率2/3で変わりませんが、上限金額は半分の200万円に減ってしまいます。このほか、15日以上の研修の場合は補助率が1/2で、上限金額が100万円となります。
大学院の学費は専攻分野によって大きく異なります。例えば慶應義塾大学の大学院では、2年間に必要な費用の合計が200万~400万円という大きな開きがあります。とは言え、仮に400万円の専攻分野であっても、2/3なら約270万円が補助され、企業側の支払い分は130万円程度で済みますから、負担はかなり和らぎそうです。

2021年度はあと2回募集

2021年度は4次募集まで予定されており、7月に2次募集までが締め切られました。今後は10月から11月にかけて募集される3次、12月から22年1月にかけて募集される4次が控えています。
もちろん、社員が教育を受けている間は費用がかかる一方で成果が上がってきませんから、費用対効果で言えばマイナスなのは言うまでもありません。しかし、既存の社員に外部教育を受けさせることで、これまで社内に不足していた知見を、既存の人材の育成によって挙げられる可能性があるとすれば、公的な助成制度の活用を考えてもよいかもしれません。